人間の関節の動きは上から下まで連鎖しています~運動連鎖~

みなさま,おつかれさまです,舟波真一です。

本日は「運動連鎖」について考えていきます。

運動連鎖という用語は機械工学で用いられていた用語です。

Franz Reuleaux(1825-1905)は運動学の父と称される機械工学者です。

彼は「機械というものは、運動学的連鎖において隣接する部品によって動きを制約された要素の連鎖として抽象化できる」と提唱しました。

これはまさにリンク機構であり機械の運動学には適した用語でした。

Check⇒ 立石哲也:関節の運動安定性,バイオメカニクス~機械工学と生物・医学の融合~,pp110-113,2010,オーム社

1955年、アーサー・スタインドラー(コラムトップの画像)は

多くの偉大な業績を残した整形外科医師です。

彼は、「ある関節で運動が生じると、その運動の影響が隣接関節に波及すること」を運動連鎖(Kinetic chain)として人体に適応させたはじめての人物です。

著書「Kinesiology Of The Human Body」は今でも示唆に富んだ名著だと思います。

人体においても特定の関節構造に制約されたリンク機構が存在することは確かです。

それは強固に連結され嵌め込みが深い関節による場合に限られます。

人体は弾性をもった筋膜系によって連結されており、かつ、むしろ嵌め込みが深くない関節が非常に多いためにリンク機構のみで語るには少し無理が生じます。

人は環境や課題に応じて、実に合目的かつ合理的に複数分節を連動させて運動します。

「連鎖」には「物事が互いにつながっていること」という意味合いがありますが、

まさに各分節の運動(ふるまい)は互いにつながりをもって行われているため、

身体運動とはまさに運動連鎖によってなされているといえます。

しかし身体運動における運動連鎖は、

機械工学的な連鎖であるリンク機構に加えて、結合組織などの連続性の影響をうけます。

また、身体からの感覚情報に基づく複数の筋の出力を、

同時あるいは時系列に活動させるようなシナジーという神経系の連鎖的仕組みなどに反映されて多様性をもっています。

ある程度経験をかさねた臨床家であれば、

人の運動生成における法則性や各分節のふるまいの連関があることは

なんとなくでも気がついていると思います。

「連鎖」の意味合いはこのような運動の連関を包括して語るのに都合がよく、

「運動連鎖」には各々の臨床家や領域によって解釈や定義が異なったりしてきたのが実情でしょう。

このような歴史を顧みるとき、

やはり「機械」の世界で用いられていた用語を人体に適応したことに無理があるように思えてなりません。

そこで我々は、複数分節が連動して行われる身体運動を包含して、

運動連鎖の定義を、

「複数の分節が時間的・空間的に協応して合目的かつ合理的な動作を行うことができること」としました。

時間的とは運動のタイミングや速さ・順序などであり、

空間的とは運動方向やアライメントなどをさします。

実は、この定義は身体運動そのものを言い当てたものであり、

そもそも複数分節の連鎖的反応を伴わない身体運動など存在しないというのが事実です。

ですので、最初から無理が生じていた運動連鎖という用語を身体運動から排除し、

バイオメカニクスと神経科学を統合させて考えてきた運動の概念の事を

「統合的運動生成概念」としたわけです。

我々の講習会に出て頂いたり、

このコラムを読み進めていっていただくうちにこの真意を更にご理解いただければ幸いです。

 

BiNI COMPLEX JAPAN 舟波真一でした。

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