運動の専門家として

みなさん,こんにちは,舟波真一です。

統合的運動生成概念のコラム,本日は運動の専門家として,どう振舞うか?を考えます。

臨床家は,運動の専門家です。

その仕事は,人と人との干渉によって成立します。

それは,脳(中枢神経系)・身体・環境といった,この世界で起きているありとあらゆる事象を包括しています。

つまり,複雑系として捉え,理解することが必要となります。

複雑系とは,システムを構成する要素の振舞いのルールが,全体の文脈によって動的に変化してしまうシステム(系)です。

たとえば,人間において,この複雑系のシステムを考えてみると,

舟波真一,という人間の脳細胞を取り出して顕微鏡で見ても,

山岸茂則,という人間の脳細胞を取り出して顕微鏡で見ても,まったく変わらない。

心臓の細胞も,肝臓の細胞も,どこの細胞を取ってきても,舟波真一と山岸茂則の細胞は,顕微鏡で見ればまったく同じです。

しかし,一人の人間としてみれば,まったく違う。同じところなんか一つもない,ということになります。

人間を構成する細胞を合わせてみたら,細胞レベルではまったくおんなじなのに,

出来あがった一人の人間はまったく違います。同じもの足しても結果が変わってきてしまう世界のことを「複雑系」と言います。難しいですよね。

理由なんてわからないのです,でも,人間て一人ひとり違う,複雑系システムなんです。

理由は分からないですが,目の前の症例が改善を示すことは幾度となく経験します。

その,言葉に出来ない,わからない理由を,蓄積された数多くの臨床経験から導く「人における法則性」として治療に応用していこうと考えています。

それが,我々臨床家のエビデンスと考えています。

もちろんこの「人における法則性」に関して,高額機器を用いて研究し,ロジックにしていくことも非常に大切です。

そのような研究機関にいる専門家の仕事は,人類の発展にとって欠くことが出来ない存在です。

しかし,臨床家はその時間のほとんどを目の前の症例に費やすべきだと考えています。

研究などで解明されたロジックを,既知の事実として,目の前で起こった症例の変化に照らし合わせて考察し,法則性として蓄えていくことが我々臨床家の仕事と思っています。

「法則性」とは,個人を対象にするのではなく,集団を対象にしていき,統計学において結果を導き出すものです。

「100人に対して,右の肩峰をさわった,そしたら座位並進バランステストが80人でアップした。」

これは統計的に有意に差がある,偶然ではありませんよ,ということになります。

こういった,臨床での法則性を導き出して,治療を標準化していこうとする試みを,我々は提案しております。

研究畑,教育畑,臨床畑はそれぞれ並列にあって,それぞれのダイナミクスを持ちます。

人の運動も同様で,脳と身体と環境は,それぞれ並列であり,それぞれのダイナミクスが存在します。

脳だけを解明していっても運動は生まれません。

同じように,身体だけ,バイオメカニクスだけ,環境からの影響だけ,というようにそれだけ切り離して考えても運動の真理にはたどりつくことは出来ません。

すべてを包括し,統合して運動というものをまっさらな両の眼(まなこ)で見据えなければならないと考えています。

我々は,その「人の動き~運動~」を,地球上で一様に与えられている力学的法則に立脚して,臨床家としての新しい視点を加えて考えてきました。

そして身体運動学そのものを,自己組織的に生成される運動として捉え,

バイオメカニクスの観点から観察・説明できる身体運動を,

神経科学・発生学・非線形力学・運動器連結を含む構造・人の左右特異性・感覚入力位置特異性などの観点と関連性を持たせながら統合的に説明する概念,

「統合的運動生成概念」を構築しました。

身体運動に対する治療介入においてはバイオメカニクスで観察される外力こそ,中枢神経系が取り込む「感覚」であると,我々は考えています。

そしてその「感覚」こそが,「中枢神経系」というコンバーターによって「運動」に変換されるのです。

人の動き,運動を変えたければ,「感覚」を変えることが不可欠となります。

そして我々臨床家は,その「感覚」を操る技術者であるといえます。

我々が生成可能な外力である床反力,慣性力などをすべて「感覚」として捉え,治療に応用していきます。

人体構造はそれ自体が運動を規定する重要な一要素であるばかりでなく,その構造や構造の変化も感覚の変化を生起するため,組織の性質・アライメント・他動的と思われるような関節運動なども重要視します。

さらには感覚入力位置特異性・人の左右特異性がおよぼす感覚入力特異性なども含め,これらの感覚情報を操ることで合目的かつ合理的活動を提供し,学習につなげるプロセスを提唱しております。

このような観点から我々は,関節や疾患に関わらずシンプルでありながら的確な変化を引き起こす,[BiNI Approach : Biomechanics and Neuroscience Integrative Approach]を開発しました。

臨床的法則性から成り立っております。

 

「日本のリハビリテーション誕生から半世紀,この業界に一石を投じ,その波紋の共鳴をもってパラダイムシフトを敢行する」

 

BiNI COMPLEX JAPAN 舟波真一でした。

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